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藤田加工

めっきの図面にJIS記号を書くだけでイメージ通りの仕上がりに!

皆様がめっきの依頼をしたいとき、注文書や図面にどのように記載すればいいのか悩まれたことはありませんか?たとえば「金めっき」や「亜鉛めっき」のようにめっきの種類だけを記載する、もしくはその会社独自の処理記号等をそのまま記載してしまうケースもあるかと思います。
その場合、あとから何回もめっき仕様についてのやり取りが必要になったり、最悪の場合、希望していた仕様どおりに仕上がらず、トラブルになってしまったりするケースが発生してしまうかもしれません。ではどうすればいいのでしょうか?

じつは、めっきにもJIS規格があり、JIS記号によってめっきの種類や厚み(膜厚)、後処理までのすべてをあらわすことができます。めっきのJIS記号は、日本工業規格JIS H 0404(電気めっきの記号による表示方法)に基づいて表示されます。これは日本国内で使用されるめっき製品の規格を示す符号体系です。この記号によって、めっき処理が簡潔に識別され、必要な仕様を把握するのに役立ちます。

JIS記号では、それぞれのめっき処理に特有の記号が割り当てられています。たとえば、「Zn」は亜鉛めっきを指し、「Cu」は銅めっきを意味します。これらの記号を使うことで、どのようなめっきの種類なのかを簡単に示すことができます。
めっきの厚さは「Zn5」などのようにめっきの種類の後に数字で記載します。「Zn5」は亜鉛めっきの厚さが5μmであることを示しています。めっきの厚さはμm単位で示した数字とします。ほかにも「光沢めっき」や「無光沢めっき」などのめっきのタイプや後処理の種類なども記号で表します。では、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

下の図は表示方法及び表示順をあらわしたものです。

① めっきを表す記号
・電気めっき:EP or SPLE
・無電解めっき:ELp or SPLEL

➁ 素地の種類を表す記号
素地の種類を表す記号は、素地が金属の場合には、その金属の元素記号とし、合金の場合には主成分金属の元素記号を表示します。

・Fe:鉄、鋼及びそれらの合金
・Cu:銅及びその合金
・Zn:亜鉛およびその合金
・Al:アルミニウムおよびその合金
・Mg:マグネシウムおよびその合金
・PL:プラスチック
・CE:セラミックス

➂ めっきの種類
めっきの種類を表す記号は、その元素記号で表示します。多層めっきの場合には、素地に近いめっきの構成の順に左から右へコンマを付けて順に表示、合金めっきの場合には、合金を構成している主な元素の元素記号をハイフンで結んで表示します。

・Zn:亜鉛めっき
・Ni:ニッケルめっき
・Au:金めっき
・Ag:銀めっき
・Cu:銅めっき
・Cr:クロムめっき
・ICr工業用クロムめっき

④ めっきの厚さ
めっき厚さは、有効面での最小厚さをμm単位で示した数字で表示します。

⑤ めっきのタイプ
・b:光沢めっき
・s:半光沢めっき
・m:無光沢めっき
・v:ビロード状めっき
・n:非平滑めっき
・d:二層ニッケルめっき
・t:三層ニッケルめっき
・r:普通のクロムめっき
・mp:マイクロポーラスめっき
・mc:マイクロクラックめっき
・cf:クラックフリーめっき

⑥ 後処理の方法
2種類以上の後処理を行う場合には、処理操作の順又は、素地に近い順に左から右に各記号をコンマで区切って表示します。

・HB:水素除去のベーキング
・DH:拡散熱処理
・CM1:光沢クロメート処理
・CM2:有色クロメート処理
・CM3:黒色クロメート処理
・PA:塗装
・CL:着色
・AT:変色防止

➆ 使用環境を表す記号
装飾、防食などの目的でめっき製品を使用する場合、その使用環境を左記の表の通りに区分し、記号で示します。

A:腐食性の強い屋外環境(海浜、工業地域等)
B:通常の屋外環境(田園、住宅地域等)
C:湿度の高い屋内環境(浴室、厨房等)
D:通常の屋内環境(住宅、事務所等)

三価クロメートにはJIS規格が存在せず、JIS記号がありません。そのため、六価クロメートのJIS規格に基づいて表記し、注釈として「三価クロメート」や「TC(Trivalent Chromate)」などを追記することが標準です。

例1)Ep-Cu/Ni3b
電気めっき、銅素地、光沢ニッケルめっき3μm以上
例2)Ep-Fe/ELp-Ni 15, ICr 20
最終めっきが電気めっき,鉄鋼素地,無電解ニッケルめっき15 μm以上,工業用クロムめっき20 μm以上
例3)Ep-Cu/Ni 5b, Cr 0.1r/
電気めっき、銅合金素地、光沢ニッケルめっき5μm以上、普通のクロム0.1μ以上
例4)Ep-Fe/Zn 5/CM1(三価クロメート)
電気めっき、鉄鋼素地、亜鉛めっき5μm、三価の光沢クロメート処理
例5)Ep-Fe/Zn 5/CM1
電気めっき、鉄鋼素地、亜鉛めっき5μm、光沢クロメート処理
この光沢クロメートは六価クロメートのことを意味しています。

JIS記号を適切に使用することで、めっきの種類や仕上がりの要件を明確に伝えることができ、業界共通の規格であるため、メッキ業者との間での認識のずれや誤解を防ぐことができます。
JIS記号は、めっき業界において重要なツールであり、正確な情報伝達と効率的な作業を実現するために積極的に活用しましょう。

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