About Platingめっきとは
めっきとは金属や樹脂などの素材の表面に、薄い金属の被膜を生成させる技術のことを言います。私たちの身近にある家電や自動車、スマホ、さらにはそれらの部品として欠かせない半導体に至るまで、さまざまなものに使われ、とても重要な役割を果たしています。トタン(鉄の上に亜鉛めっきしたもの)やブリキ(鉄の上にすずめっきをしたもの)などもそうです。ではなぜめっきが必要なのか。その目的や方法、めっきの工程について説明していきたいと思います。
01めっき?メッキ?めっきの歴史
その前に、めっきはひらがなで書くのが正しいのか、カタカナが正しいのか。インターネットで検索するとどちらも出てくるのですが、JIS規格ではひらがな表記で統一されています。それはめっきの語源から来ています。めっきの歴史は古く、日本では奈良時代の仏像に金めっきをしていたとの記録が残っています。その方法は、金を水銀に溶かすアマルガム法と呼ばれるもので、この時、金が水銀に溶けて見えなくなることから「滅金(めっきん)」の言葉が出てきたと言われており、いつのころからか「めっき」と読まれるようになったと言われています。外来語ではなく和製単語であることから、ひらがな表記することにしています。世界最古のめっきは、なんと紀元前1500年ごろと言われているそうです。現在よく使われている電気めっきは、1800年のボルタ電池の発明により開発・発展したと言われています。
02めっきの目的
めっきをする目的には様々なものがありますが、大きく分けると「装飾性」「耐食性」「機能性」の3つに分けられます。
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装飾性
見た目を美しく装飾する目的で行います。アクセサリー類に行う金めっきや銀めっき、自動車のインテリアや外装品に行うクロムめっきなどがその代表です。
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耐食性
素材を錆や変色から守る目的で行います。錆びやすい鉄素材の上に行う亜鉛めっきがその代表となります。金属が空気に触れると、酸素と結びついて表面に酸化膜ができます。鉄の酸化膜がいわゆる錆と呼ばれるものです。
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機能性
めっきをすることで、素材にはない機能を付与する目的で行います。クロムやニッケルなど、硬い皮膜をめっきすることで耐摩耗性を付与したり、金、銀、すずめっきをすることで電気伝導性を高めたりすることができます。ほかにも磁気特性や光特性、熱特性など様々な機能を付与することができます。
03めっき方法の種類
めっき方法は大きく分けて湿式めっき法と乾式めっき法の二つに分けることができます。
湿式めっき法は化学的作用による方法で、電気めっき法、化学めっき(無電解めっき)法などがあります。
乾式めっき法は物理的作用による方法で、真空めっき法や溶融めっき法などがあります。
この中から弊社で取り扱っている電気めっき法と化学めっき(無電解めっき)法について簡単に説明したいと思います。
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電気めっき法
金属塩が溶けている水溶液(めっき液)に外部電流を使って電流を流し、素材表面に金属の膜を還元析出させる方法です。めっき液中にめっきしたい素材と皮膜となる金属を入れて電流を流すことで、めっき皮膜を生成することができます。この時、素材側にマイナス、皮膜となる金属側にプラスの電気を流します。
亜鉛、ニッケル、銅などの重金属や、金、銀、ロジウムなどの貴金属に至るまで広範囲の金属のめっきが可能です。 -
化学めっき(無電解めっき)法
外部電流を用いることなくめっき液中に溶けている金属を化学的に還元析出させる方法です。ニッケル、銅、すず、金めっきなどが実用化されています。最大の特長は均一な膜厚が得られることで、寸法精度が高いので機能部品の表面処理に最適なことです。また、電気を使わないことから、非金属素材にもめっきをすることができます。しかし化学めっきできる金属の種類は一部に限られてしまいます。
04めっきの工程
実はめっきの工程は非常に長く、時間がかかります。いきなりめっきをつけるわけではありません。めっきしたい素材表面の汚れなどをしっかり取り除かないとめっきがうまくつきません。この工程を前処理といい、薬品を使用して行います。めっき後にもめっき皮膜を守るための工程を行うことがあります。これを後処理といいます。また工程ごとに使用した薬品を水で洗い流す水洗という工程もあります。そのため、めっきラインは思った以上にスペースを使います。それではめっきを行うための主な工程についてみていきたいと思います。
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前処理
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脱脂
まず初めに素材加工時に使われて残っている油を取り除きます。アルカリ系の薬品を使用します。石鹸水のようなイメージです。油がひどい場合は予備洗浄として有機溶剤を使うこともあります。
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電解脱脂
素材に電気を流し、表面に発生するガスの力を使って汚れを取り除く工程です。より表面をきれいにすることができます。
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酸浸漬
素材表面の酸化膜を取り除く工程です。素材をわずかに溶かして、きれいで新鮮な金属表面に変えてめっきの密着をよくします。活性化とも呼ばれます。
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めっき
以上の工程を経てやっとめっき工程に移ります。ここでは電気めっき法の主な2つのやり方について説明します。
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引掛けめっき
製品を一つひとつ治具と呼ばれるものに掛けてめっき処理を行う方法です。引掛ける穴が開いていれば楽なのですが、穴がない場合、専用の治具の作成が必要となります。引掛ける手間がかかるためコストが高くなりますが、キズや変形のリスクが低く、仕上がりもきれいになります。
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バレルめっき
バレルと呼ばれる容器に製品を入れてゆっくりと回転させながら処理する方法です。バレルの語源は「樽」から来ていて、横長の円筒状の容器になります。キズや変形の恐れがありますが、製品を投入するだけで一度に大量の処理ができるため、コストを低く抑えることができます。
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後処理
後処理で有名なのは亜鉛めっき後に行うクロメート処理です。亜鉛は鉄よりも弱い金属なので、そのままだとすぐに錆びてしまいます。クロムを含む液に漬けてクロメート皮膜を作ることで耐食性が飛躍的にあがります。以前は有害な6価クロムを使用していましたが、RoHS規制などもあり、現在は3価クロムを使用したクロメート処理が主流となっています。他にも変色防止剤などに漬けて仕上げる場合もあります。
これらの工程を経てやっとめっき終了です。
めっき皮膜の厚みを調べる膜厚検査、めっき不良やシミ・キズなどを確認する外観検査、そして梱包ののちに出荷されます。
05めっきに使用される金属
では実際にどのようなめっきが行われているかをみていきます。
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金めっき
見た目がきれいで美しく、高級感もあることから装飾品に使われます。金メダルなどもすべて金でできているわけではなく、銀で製作されたものに金めっきを行って仕上げています。また、金は他の金属と比べても化学的に非常に安定で、耐腐食性、耐酸化性に優れており、高い導電性と低い接触抵抗も備えているため、接点やコネクタなどの工業用目的にも使われます。
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銀めっき
銀も貴金属の一つで、アクセサリーや洋食器などの装飾めっきとして使われます。その昔、高級貴族の人たちが銀の食器を使用していたそうですが、それは銀が硫黄化合物に触れると黒く変色する性質を利用して、食べ物に硫黄化合物やヒ素化合物などの毒が入っていないかどうかを確認するためだったと言われています。銀の電気伝導率と熱伝導率は金属の中で最も優れているため、電気の接点部分にも使用されます。人体に害のない事や殺菌作用があることも分かっているので、抗菌めっきとしての用途もあります。
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銅めっき
銅は空気中で変色、腐食しやすいため装飾用の最終めっきとしてはあまり使われません。しかしあらゆる素材金属の上にめっき可能なことから、下地めっきとしてよく利用されています。機能性としては伝導率の高さや均一電着性の特性を活かして、プリント配線板のめっきに利用されていて、パソコンやスマホの生産に欠かせないものとなっています。
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ニッケル
めっきニッケルは鉄に近い金属ですが、鉄よりは空気や湿度に対して安定なため、防食めっきとして行われます。鉄よりも強いニッケルの被膜で覆って、鉄を守る役割をします。しかしめっき皮膜にはピンホールと呼ばれる無数の小さい穴が開いていて、そこから素材の鉄を錆びさせてしまう場合があります。そのため下地に銅めっきをつけたり、ニッケルめっきを2層、3層と付けたりすることで錆を防ぐこともあります。金属光沢のある外観が得られるため装飾めっきとしても使用されますが、空気中でわずかに変色するため、その上に薄くクロムめっきをして、よりきれいで光沢感のある外観に仕上げることもあります。皮膜がある程度硬いことや耐食性を利用して、金めっきや銀めっきの下地めっきとしてもよく使われます。
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クロムめっき
クロムめっきは装飾クロムめっきと工業用クロムめっきの2種類に分けることができます。装飾クロムめっきはその青白い美しい金属光沢を活かして、自動車のドアレバーや内装品、エンブレムなどによく見られ、高級感漂う見た目を付与します。耐食性もあるのでその美しい外観をいつまでも保つことができます。工業用クロムめっきはその皮膜の硬さや耐摩耗性を利用して、ピストンやシリンダーなどに利用されます。
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亜鉛めっき
亜鉛めっきは鉄素材の防食めっきとして行われます。その機構はニッケルめっきと違って、鉄よりも弱い亜鉛が自ら犠牲となって素材を守る、いわゆる犠牲防食と呼ばれものとなっています。亜鉛めっきの上にクロメート皮膜と呼ばれる、クロムを含む化成皮膜を作る処理をすることで、亜鉛自身の耐食性を飛躍的に向上させることができ、自動車部品などによく利用されます。
06めっきのメリット・デメリット
以上を踏まえて、めっきのメリット・デメリットをまとめてみます。
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メリット
● 見た目をきれいに、美しくすることができる
● 製品を錆から守ってくれる
● 様々な機能を付与することができる
● 高価な金属(例えば金)そのもので製品を作るよりもコストを抑えることができる -
デメリット
● めっきの費用がかかる
● 工程が長く、手間と時間がかかる、設備も比較的大掛かりなものとなる
● 薬品を使用するためある程度の化学の知識が必要、中には危険な薬品もある
● めっきで使用した水には有害な薬品が含まれているので、処理をしないと捨てられない、またそのための施設・設備も必要
07まとめ
ここまで、めっきの種類や目的、メリット・デメリットについて紹介させて頂きました。少しでもめっきについてご理解いただければ幸いです。
もっと詳しく知りたい、コストがどれくらいかかるか知りたいなど、分からないことがございましたらお気軽にお問い合わせください。
ホームページにも各種めっきの紹介ページがございますのでそちらも参考にしていただければと思います。
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