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藤田加工

めっきがもたらす医療機器の耐久性向上と衛生面改善のメリット

医療機器の製造においては、品質と信頼性が不可欠です。そのため、めっき技術が広く活用されています。めっきは金属表面に薄い膜を形成し、耐久性や防錆性を向上させる効果があります。これは、医療機器が長期間使用されることを考慮して重要です。めっきによって金属部品の表面が保護され、摩耗や腐食から守られるため、機器の寿命が延びます。さらに、衛生面の向上にも寄与します。医療機器は常に清潔な状態でなければなりません。今回は、医療機業界で使用されるめっきの効果、種類、役割、課題について詳しくご紹介します。

■ 効果
めっきによって表面が滑らかになり、微細な凹凸が減少するため、汚れや細菌の付着を防ぐことができます。さらに、表面を金属皮膜で覆うことで、耐蝕性や耐摩耗性が向上するだけでなく、外観も美しくなります。金属皮膜は表面の物理的・化学的特性を変化させるため、耐久性や潤滑性も向上し、製品の寿命を延ばす効果があります。その結果、めっきによって表面が保護されることで、環境からの影響を受けにくくなり、製品の品質維持にも役立ちます。特に食器や医療機器などの衛生面が重要な製品においては、めっきによる表面処理が欠かせない要素となっています。製品の表面を滑らかにし、清潔に保つことで、使用者の安全性や衛生面を確保することができ、製品の信頼性や付加価値を高めることができます。めっき技術は、製品の品質向上だけでなく、製品の長寿命化や使用環境の改善にも貢献しており、産業界において欠かせない重要な技術となっています。

 また、一部のめっき技術は抗菌効果を持ち、感染症のリスクを低減することができるため、特に健康意識の高まる現代社会において注目されています。例えば、銀や銅などの金属を使用した抗菌めっきは菌の増殖を抑制し、清潔な状態を維持する効果があります。このような抗菌めっき技術を採用した製品は、食器や生活用品から医療機器まで幅広い分野で利用されており、感染症対策に一役買っています。例えば、スマートフォンは世界中で多くの人々が日常的に利用しています。私自身も愛用しており、その便利さや使いやすさに満足しています。スマートフォンなどのデバイスにも抗菌めっきが採用されると、日常の衛生管理や感染症予防に大きな効果をもたらす可能性があるため、健康志向の人々にとっては頼もしい存在となるでしょう。

■ 種類
医療機業界では、さまざまな製品や部品にめっきが使用されています。
主なめっきの種類は以下の通りです。

1. クロムめっき
耐腐食性があり、外観を向上させるために使用されます。一般的に外科器具や歯科機器で利用されています。

2. ニッケルめっき
耐摩耗性、また耐腐食性も備えているため、医療機器の部品によく使われています。例えば、外科手術器具や歯科機器でよく見かけます。

3. 金めっき
導電性があり、また化学的安定性が高いため、一部の医療機器や電極などに使用されます。

4. 銀めっき
抗菌性があり、微生物の成長を抑えるために使用されることがあります。医療機器や器具の表面に銀めっきが施されることがあります。

 銀めっきは、空気中や水中などの酸素を活性酸素に変える触媒作用を持ち、微生物や細菌に損傷を与える可能性が考えられています。銀イオンが細菌の細胞膜や内部のタンパク質・酵素と反応し、障害を引き起こすことで細菌に影響を及ぼすとされています。また、金属イオンの抗菌作用メカニズムには、電子伝達系の阻害やDNAへの結合などが挙げられます。銀イオンの抗菌性の強さは、タンパク質やDNA内の基本的な結合親和性に起因すると考えられています。金属の抗菌作用については、銅や真鍮、アルミニウムなどの素材も同様に微生物や細菌の活動を抑制する効果を持っていることが知られています。このように、金属イオンを含む銀めっきは、抗菌性のある効果を持ち、実用化されている製品や市販品として広く利用されています。

5. パシベート
抗菌性があり、微生物の成長を抑えるために使用されることがあります。医療機器や器具の表面に銀めっきが施されることがあります。

 金属表面に酸化皮膜を生成させることで耐食性を向上させる技術は、不動態化処理とも呼ばれます。この処理により、金属表面に微細な皮膜が形成され、その皮膜が金属を外部からの腐食や化学的攻撃から保護します。具体的には、ステンレス鋼などの金属表面に酸化皮膜を形成し、これによって金属の耐食性が向上します。パシベート処理は、表面の化学的性質を改善するため、外観や寸法の変化はほとんど見られず、金属の硬度も影響を受けません。この技術は、金属製品の長寿命化や外観美の維持に貢献し、特に海洋環境や化学工業などで使用される金属部品において重要です。パシベート処理によって形成される皮膜は非常に薄く、肉眼では確認できないほど微細ですが、その僅かな厚さが金属部品の耐久性を高めることができるのです。

■ 役割
1.耐薬品性
医療機器は消毒剤や薬品と接触することがあります。薬品に耐性を持ち、機器の寿命を延ばし、品質を保つお手伝いをしています。

2.衛生面
医療機器の衛生管理は感染予防に欠かせません。表面に微細な凹凸を作ることで、微生物の付着を防ぎ、衛生面を向上させる重要な役割を果たしています。

3.耐摩耗性
医療機器は日常的に使用されるため、摩耗や磨耗が起こりやすいです。部品の表面を保護し、摩耗や磨耗に耐える力を高めることができます。

4.環境への影響
めっき技術は環境への影響が懸念されることもあります。一部のめっき素材には有害な物質が含まれている場合があり、廃棄物の処理に問題が生じるかもしれません。ですから、環境に配慮しためっき技術の開発が重要視されています。

■ 課題
医療機器業界におけるめっき技術には、幾つもの重要な課題が存在しています。

1.めっき層の均一性や厚さの制御
これは製品の品質向上に直結しており、安全性や信頼性を高めるために欠かせない要素となっています。特に医療機器は人の健康や生命に関わるため、めっき層の均一性が保たれていることは、製品の機能性や耐久性に直結しています。例えば、インプラントやペースメーカーなどの医療機器は体内に埋め込まれるため、めっき層の品質が不均一だと体内での反応や感染リスクが増大します。そのため、めっき技術では高度な均一性や厚さの制御が求められます。

2.耐用年数や耐久性
医療機器は、長期間安定して使用できることが重要です。めっき技術により、医療機器の表面が耐薬品性や耐摩耗性を向上させることが可能となり、それによって機器の寿命を延ばすことができます。また、めっきは腐食から機器を保護し、清潔さを保つことにも貢献します。さらに、優れためっき技術によって、医療機器の信頼性や安全性を高めることができるため、患者や医療スタッフの安全を確保する上でも欠かせない要素となっています。医療機器は患者の健康や生命に直結するため、耐用年数や耐久性の向上は医療現場における重要な課題であり、めっき技術の進化はその解決に貢献しています。

3.患者の安全性や利便性
めっき技術を適切に活用することで、医療機器の表面に耐久性や防食性を付与し、製品の寿命を延ばすだけでなく、患者が安全かつ快適に使用できる環境を整えることが可能となります。特に、内部医療機器やインプラントデバイスなど、体内に留置される医療機器の場合には、めっき技術が重要な役割を果たします。表面にコーティングを施すことで、患者の体に影響を及ぼすリスクを軽減し、医療施設や医療従事者にとっても取り扱いが容易になります。さらに、めっき技術の進化により、微細な部品やセンサーを取り扱う医療用デバイスの機能性が向上し、診断や治療の精度向上に貢献することが期待されています。

4.環境
従来のめっきプロセスでは、有害物質や化学薬品の使用が問題となり、環境負荷が懸念されています。このため、より環境に配慮しためっき技術の開発や導入が求められており、特に医療機器のような健康に直結する製品では、安全性や環境への配慮がますます重要視されています。新たなめっき技術の導入により、環境にやさしい製品を提供することが可能となり、企業の社会的責任も果たすことができます。また、環境に配慮しためっき技術の採用は、持続可能な産業活動を促進し、地球環境への貢献にもつながります。医療機器業界におけるめっき技術の課題は単なる技術革新だけでなく、環境への配慮を含めた社会的責任やサステナビリティの視点からも重要な課題と言えるでしょう。最先端のめっき技術の開発と環境に配慮した製品開発が、医療機器業界の持続的な成長と発展に不可欠な要素となっています。

■ まとめ
藤田化工株式会社は、医療機業界のニーズに応えるために、幅広いめっき技術を提供しています。新たな処理方法として、電解研磨にもチャレンジしており、最新の技術を取り入れることで、より高品質な製品を提供しています。医療機器は安全性や耐久性が非常に重要であり、当社のめっき技術はその要件に適した表面処理を実現しています。

 特に、電解研磨は、表面の仕上げや精度向上に大きな効果を発揮し、医療機器における高い品質基準を満たすために活用されています。お客様のニーズに合わせて柔軟に対応し、常に技術革新を目指している当社では、電解研磨を含むさまざまな表面処理に関するご相談も受け付けています。医療機器の品質向上や製品の付加価値化を目指す際には、ぜひ当社の専門知識と豊富な経験を活用し、お気軽にご相談ください。

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